「Unis in Unison 2025」第2期|京都若手アーティスト10名の現在地を取材

京都の芸術系4大学と連携し、若手アーティストの滞在制作と発表の場を創出するプロジェクト「Unis in Unison 2025: Kyoto Rising Artists Project」 。

その第2期展示が2026年2月13日より始まりました。

会場となるTERRADA ART STUDIO 京都は、制作拠点としても機能する空間です。

初日の会場を訪れ、参加アーティストと主催者に話を聞きました。

制作拠点をひらく ― プロジェクトの趣旨と会場について

本プロジェクトは、寺田倉庫が京都の芸術系4大学と連携し、若手アーティストに制作環境と発表の機会を提供する取り組みです。

一定期間の滞在制作を経て、その成果を公開する形式をとっています。

会場となるTERRADA ART STUDIO 京都(京都市立芸術大学A棟6階)は、展示専用のギャラリーではなく、実際にアーティストが制作拠点として使用するスタジオ空間です。

制作と発表が地続きであることが大きな特徴であり、若手が制作に集中できる環境を整えることも、本企画の重要な目的です。

寺田倉庫はこれまで東京を中心にアート事業を展開してきましたが、京都においても継続的な若手支援の拠点づくりを進めています。

本展は、その取り組みの一環として開催されており、今回はその第2期。

第1期の展示 Photo by 岡はるか
第1期の展示 Photo by 岡はるか

第2期では、参加アーティスト10名が3ヶ月、制作活動を行いました。

第2期参加アーティスト(敬称略)

第2期には、京都の芸術系4大学から10名が参加しています。

  • 増岡詩乃(京都市立芸術大学/日本画)
  • 中川もも(京都芸術大学/写真映像)
  • 外村早季菜(京都精華大学/洋画)
  • 石塚紗詠(京都市立芸術大学/版画)
  • 小坂美鈴(京都芸術大学/染織テキスタイル)
  • 謝岳静(京都芸術大学/写真映像)
  • ジョンガフン(京都精華大学/イラスト)
  • 三木梨々花(京都精華大学/洋画)
  • 宮地ひなの(京都芸術大学/日本画)
  • 山田未佐子(京都芸術大学/染織テキスタイル)

洋画、日本画、写真映像、版画、テキスタイル、イラストと、多様な分野の若手が集まりました。

参加アーティスト3名に聞く

今回取材したのは、増岡詩乃さん、中川ももさん、外村早季菜さんの3名です。

芸術の世界に進んだきっかけなどお聞きしました!

増岡詩乃さん|京都市立芸術大学/日本画

両親が美術関係の仕事をしていたこともあり、幼少期から絵画に親しんできたという増岡さん。

美術は特別なものではなく、身近な存在だったといいます。

大学院に進んでから、版画の魅力にも触れ、絵画の中に版画的要素を織り交ぜるようになり、表現の幅が広がったそう。

スペースには自身のスケッチブックを置き、来場者は自由にのぞくことができるのも、アトリエ兼展示スペースという面白さを表現。

幼少期から身近にあった、画材の数々

京都で学び続けている理由については、実家から通えることに加え、美術館やギャラリーが多く、刺激を受けやすい環境である点を挙げます。

制作中の様子

京都は制作を続けるうえで恵まれた土地だと感じているそうです。

中川ももさん|京都芸術大学/写真映像

「目指していたというより、好きなことに没頭していたら結果としてアーティストになっていた感覚に近い」と語る中川さん。

いわゆる一般的な進路を想像できなかったことが、京都芸術大学への編入につながり、制作を始めるきっかけになったとか。

中川もも「clonal images: dormancy (play) 」(2026)

今回の滞在制作では、過去に壁紙となったクローナルイメージを結晶化させるように立体作品として提示します。

※クローナルイメージ・・・自身の生み出すイメージを「生命体」と捉えた独自の概念

中川もも「clonal images: dormancy (dissection) 」(2026)

京都については、歴史あるものと現代の文化が混在する環境がインスピレーションにつながっているといいます。

制作中の様子

日常の中に多様な表現があることが、活動を支えていると話します。

外村早季菜さん|京都精華大学/洋画

外村さんは、制作を通して思考が変化していく過程に魅力を感じているといいます。

手を動かすなかで、頭の中だけでは辿りつけなかった考えに出会えることが、美術を続ける原動力になっているそうです。

今回は、絵画と彫刻の往来、事象の連鎖をテーマに制作。

中心の柱を立てるためにどのような方法があるか、寺田倉庫のスタッフのアドバイスを活かしたとのこと。

自分がしたい展示方法が実現できるのも、アートに長く関わってきた寺田倉庫のスペースだからこそかもしれませんね。

制作中の様子

京都では、新しいギャラリーやイベントが増えている印象があり、発表の機会が広がっていると感じているとのこと。

活動の可能性を実感している様子がうかがえました。

寺田倉庫の思い|阿食さんに聞く

本プロジェクトを進める阿食さんは、若手アーティストにとって制作環境と発表の場の両立が重要だと話します。

「完成した作品を見せる場だけでなく、制作に集中できる環境そのものを支えることが必要だと考えています」

TERRADA ART STUDIO 京都を拠点にすることで、制作と発表が連続する機会をつくりたいといいます。

そして今後についても触れました。

「2026年度も、同じコンセプトでの開催を計画しています。」

8月には、新たなアーティストの入居が始まるため、その準備を進めているとのこと。

若手支援を継続的な取り組みとして発展させることが、寺田倉庫の目指す方向です。

制作の場をひらき、若手の現在地を社会へとつなぐ取り組み。

TERRADA ART STUDIO 京都を拠点に、その挑戦は今後も続いていきます。