近江鉄道、ついに「ICOCA」で乗れる日が来る。─サービスインの裏側と、沿線を盛り上げる次の一手

こんにちは。こ/こと編集部です。

滋賀と京都で、魅力いっぱいの事業をしている企業とそこで働くヒトを応援するレポート企画「シガキョウトのステキ企業とそこのヒト」。

第14弾は、滋賀県の「近江鉄道株式会社」さまと、社員2名をご紹介!

2026年3月1日(日)、近江鉄道線で交通系ICカード「ICOCA」の利用が開始ということで、沿線の地域協働を担う杉本さんと堀田さんに、交通系ICカード導入の狙いと、これからの近江鉄道が描く未来を伺いました。

近江鉄道線のICOCAサービスインは2026年3月1日スタート!

滋賀の“地域の足”として親しまれてきた近江鉄道が、キャッシュレス乗車に対応することで、通勤・通学はもちろん、観光での移動もぐっとスムーズに。

さらに注目したいのが、「こども用交通系ICカード」の利用で、こども運賃が“1乗車10円”になるという新しい取り組み。

これは、西日本エリア初とのこと!

まずは、今回のICOCAサービスインについての概要です!

サービス開始日・対象路線

  • 開始日:2026年3月1日(日)
  • 対象:近江鉄道線 全線

何ができるようになる?

  • チャージ残高で“タッチ乗車”(駅・車内の入出場機にタッチして精算)
  • Webで定期券が買える:ICOCA Web定期券サービス「iCONPASS」導入(スマホ/PCで購入、払いもどし・継続もオンライン対応など)
  • ポイントサービス開始:月間3,000円超の利用額の“超えた分”の10%を「WESTERポイント(チャージ専用)」で付与
  • こども運賃が“1乗車10円”:こども用交通系ICカードの利用で、全区間・1乗車10円に(西日本エリア初)
  • 駅での紙きっぷ発売を終了(駅の営業体制も見直し)

ICOCAの購入・チャージ等の窓口

ICOCA/ICOCA定期券の購入・払いもどし・チャージは、駅係員のいる駅(彦根・八日市・貴生川・近江八幡)の窓口で取り扱い。
(※電車内チャージは不可、デポジットは500円)

ICOCAサービスイン、その狙いは「若年層」と「未来の利用者」

鉄道営業課の堀田さん(左)と、杉本さん(右)にインタビュー

地域協働コーディネーターの杉本さんと、みらいファクトリー担当の堀田さん。

導入の背景には、沿線の人口減少や利用者減という課題がありました。

なぜ“こども10円”という思い切った施策に踏み切ったのか、導入の狙いを伺います。

ここと編集部
ここと編集部

本日はよろしくお願いします!

3月1日からICOCAで乗車できるようになるとのことで。

いよいよですね。

まず気になったのが、“こども1乗車10円”。

これ、文字通り「どの区間でも10円」なんですか?

杉本さん
杉本さん

よろしくお願いします!

こども用の交通系ICカード利用を前提に、どの区間でも1乗車10円で統一します。

期間限定ではなく、通年この金額でご利用いただけます!

ここと編集部
ここと編集部

かなり思い切りましたよね。

理由としては?

杉本さん
杉本さん

沿線地域は人口減少の影響もあり、弊社の収入面でも影響が出ています。

だからこそ、将来を見据えて利用者を増やす。

その中で、強化したいのが若年層、特にお子さまと学生の方なんです。

ここと編集部
ここと編集部

なるほど。

杉本さん
杉本さん

お子様の頃から近江鉄道に”愛着”を持っていただく。

子育て世代を応援しながら、沿線を「子育てしやすい地域」としてPRしていきたい、という思いがあります。

ここと編集部
ここと編集部

親子で“ちょい乗り”しやすくなるのも大きいですね。

車より気楽、という場面が増えそうです。

杉本さん
杉本さん

そうですね。

たとえば夏場、暑さが厳しい中で「少しだけ移動したい」ときもあります。

そういう日常の移動も後押ししたいです。

イベントで“目的地”をつくる。地域と一緒に盛り上げる

ここと編集部
ここと編集部

近江鉄道さんって、謎解きなどイベントの印象が強いです。

ああいう企画はどんな体制で?

堀田さん
堀田さん

当社は「近江鉄道みらいファクトリー」という、近江鉄道の社員が地域の皆さんと一緒に活動する取り組みをしています。

会社だけで完結させるのではなく、地域の皆さんと一緒につくる形を増やしています。

自治会さん、団体さん、事業者さん…本当にいろんな方に会いに行って、話を聞いて、つながっていく。
「近江鉄道が勝手にやってる」ではなく、“地域と肩を組んでいる”と思ってもらえる関係を大事にしたいんです。

ここと編集部
ここと編集部

実際に一緒にできた事例はありますか?

堀田さん
堀田さん

たとえば、プラレールのイベントで、地域団体さんを窓口にして事業者さんに出店いただき、次開催ではマルシェも実施しました。

ファミリーが来てくれる形になって、手応えがありましたね。
ただ、打ち合わせの回数も多くなりますし、出店者募集、ポスター作成など準備も多い。

さらに沿線は10市町にまたがるので、温度感の違いもあります。

合意形成は毎回の課題です。

ここと編集部
ここと編集部

それでも“地域と一緒に”にこだわるのは?

堀田さん
堀田さん

地域交通として支えていただいている立場でもありますし、だからこそ、地域に対して必要なアクションをしていきたい。

イベントはそのひとつです。

今後、どんな展開を考えている?

ここと編集部
ここと編集部

ICOCA導入で、ここから何が変わりそうですか?

杉本さん
杉本さん

大きいのは、ご利用データを取得できる環境が整うことです。

そこを見ながら、運行計画も含めて、よりお客様目線でサービスを充実させたい。
それと、地域の中だけでなく、観光やビジネスで沿線“外”からの流入を増やしたい。

そのために、地域の取り組みを発信したり、鉄道会社同士の連携・コラボでプロモーションしたり。

そういう動きも強めていきます。

ここと編集部
ここと編集部

外から人を連れてくるのはとても重要ですよね!

具体的に、こういうことがしたい!ってありますか?

杉本さん
杉本さん

ひとつはスポーツをフックにした“にぎわいの創出”です。

スポーツツーリズムの形で、土日に往来が生まれるような“目的”をつくる。
毎年続くイベントになれば、「今年も行きたい」が生まれて、リピーターを増やせます。

若年層にも届きやすいんじゃないか、と。

堀田さん
堀田さん

僕は引き続き、地域をもっと深掘りして、人とつながっていきたいです。
地域の方に「近江鉄道と一緒にやってる」と思ってもらえる関係が広がれば、できることも増えていく。

まだ見えていない人、まだ出会えていない地域も多いので、そこを丁寧に拾っていきたいですね。

取材後記:ICOCAは“ゴール”じゃなく、“スタート”だった

ICOCA導入は「便利になる」だけではなく、

  • こども1乗車10円で“将来の利用者”に近江鉄道を刻むこと
  • Web定期(iCONPASS)やポイントで、日常利用のハードルを下げること
  • そしてデータを活かし、沿線外へも仕掛けていくこと

そんな一連の流れの“起点”として語られていました。

近江鉄道が目指しているのは、ただ乗ってもらうことではなく、沿線に足を運ぶ理由を、地域と一緒につくっていくこと

この春、タッチひとつで始まる新しい近江鉄道の物語に、ちょっと期待してしまいます。

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