「よーじや」が京都26市町村を巡って見つけたもの。新事業「にーろく」を立ち上げる3人に聞いた

京都のお土産としておなじみの「あぶらとり紙」で知られる、よーじやグループ。

そんな京都を代表するブランドが、これまでとは少し違った新しい挑戦を始めています。

その名も「にーろく」。

京都府内26市町村の魅力を集めたセレクトショップが、2027年、京都・岡崎エリアに誕生する予定です。

今回、こ/こと編集部がお話を伺ったのは、ゼネラルサブマネージャーの出野(いでの)さん、新規事業準備室の相米(そうまい)さん、ファンづくり推進部の山本さんの3人。

実際に京都府内を巡り、地域のつくり手と出会いながら進めているという新事業。

立ち上げの経緯から、現地での思いがけない発見、そして「にーろく」に込めた想いまで、たっぷりと伺いました。

あぶらとり紙の「よーじや」が、なぜ京都のセレクトショップを?

お話をうかがった、出野さん、山本さん、相米さん(左から)

京都のお土産といえば、よーじやのあぶらとり紙。そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

2025年、よーじやグループは「みんなが喜ぶ京都にする」というスローガンを掲げ、リブランディングを発表しました。

その新しい取り組みのひとつとして動き出したのが、京都府内26市町村の食品や工芸品、雑貨などを紹介する「にーろく」です。

まずは、新規事業準備室の責任者を務める出野さんに、プロジェクトが始まった経緯を伺いました。

ここと編集部
ここと編集部

今回の「にーろく」は、これまでのよーじやとはかなり違う事業ですよね。

そもそも、どういうきっかけで始まったのでしょうか?

出野さん
出野さん

リブランディングに向けて話を進める中で、京都への貢献をもっと会社として形にしていきたいという話があったんです。

京都というと、どうしても京都市内に注目が集まりがちですよね。

でも、京都府全体にはまだまだ魅力的なものがたくさんあります。

そういったものをもっと発信して、地域に目を向けてもらうきっかけをつくれないかと。

代表からもそうした話があって、いろいろと検討する中で、セレクトショップという形が具体化していきました。

ここと編集部
ここと編集部

なるほど。

社内では「よーじやがセレクトショップを?」と驚かれたりしませんでしたか?

出野さん
出野さん

そこまで大きな驚きや戸惑いはなかったと思います。

社内に対して、リブランディングの方向性と一緒に新事業についても伝えていたので、会社がこれから目指していくことのひとつとして受け止めてもらえたのかなと。

ここと編集部
ここと編集部

ちなみに、すでに営業されている「26(にーろく)ダイニング」とも、つながりがあるんですよね?

26(にーろく)ダイニングCOCON KARASUMA店|画像提供:よーじやグループ
出野さん
出野さん

はい、つながりのある事業です。

実は構想としてはセレクトショップの方が先にあったんです。

ただ、いろいろなご縁やタイミングが重なって、ダイニングの方が先にオープンすることになりました。

京都の魅力を「食」で伝える場所と、さまざまな商品を通して伝える場所。

それぞれ違った形で、京都の魅力を知っていただくきっかけになればと思っています。

京都でオリーブオイル? 26市町村を巡って出会った、知らなかった京都

「にーろく」の大きな特徴は、担当者が実際に現地を訪れ、つくり手と直接会っていること。

昨年から京都府内の全市町村を巡り、商品だけでなく、その土地の風景やつくり手の想いにも触れてきたといいます。

取材では、3人それぞれに印象に残っている出会いを聞いてみました。

ここと編集部
ここと編集部

実際に26市町村を巡られたそうですが、「京都にこんなものがあったんだ!」と驚いたものはありましたか?

相米さん
相米さん

いっぱいありましたね。

実は私、京都府外の出身なんです。

なので、行ったことがない場所も多くて。

特に印象に残っているのは、京丹後市で出会ったオリーブオイルです。

オリーブオイルというと海外や小豆島のイメージがあったんですが、京丹後でも20年以上前からつくっていらっしゃる方がいて。

実際に収穫体験もさせていただいたんですが、いただいたオリーブオイルが普段使っているものとは全然味が違って、本当においしかったんです。

京都でこんなものがつくられているんだと驚きました。

ここと編集部
ここと編集部

へえ! 京都でオリーブオイルって、僕も知りませんでした。

山本さんはいかがですか?

山本さん
山本さん

私は革小物が印象的でした。

京都の工芸品というと、染め物や織物、焼き物などをイメージしやすいと思うんです。

でも、革小物をつくられている方もいて、その背景にはシカの問題など、地域が抱える課題も関係しているんです。

商品だけを見ていたら分からないことも、現地でお話を聞くことで知ることができました。

食べ物でも、京野菜のイメージはありましたが、京丹波ぽーくなどのお肉もあって。

京都には本当に幅広い食材があるんだなと驚きました。

ここと編集部
ここと編集部

商品の背景まで知ると、見方も変わりますよね。

出野さんはいかがでしょう?

出野さん
出野さん

私は、伝統的な染色技術を現代の商品に取り入れているつくり手さんが印象に残っています。

伝統工芸というと、若い方には少し古いものというイメージもあるかもしれません。

でも、技術を残していくために、現代の暮らしに合うよう工夫されていて。

デザインもすごくきれいで、私自身も現地で購入しました。

ここと編集部
ここと編集部

実際に購入されたんですね。

すてきな出会いがたくさんありそうで、とてもワクワクします!

出野さん
出野さん

それと、私は京丹波町の出身なんです。

当時の私からすると、田舎だったので、早く外に出たいと思っていたんですけど(笑)。

今回いろいろな地域を巡る中で、地元を誇りに思って、盛り上げようとしている方々にたくさん出会いました。

そういう姿を見て、自分ももっと地元の魅力に目を向けないといけないなと。

以前よりも地元が好きになった気がします。

「よーじやに○○さんって本当にいるんですか?」ゼロから始まった新事業の舞台裏

今回の取材で印象的だったのは、商品探しに対する徹底した姿勢でした。

「にーろく」では、実際につくり手と会って話を聞くことを大切にしているそう。

しかし、新事業の立ち上げは、何もかもが初めてのことばかり。

今だから笑って話せる、そんなエピソードも聞かせていただきました。

ここと編集部
ここと編集部

これまでのよーじやは、自社の商品をつくって販売することが中心だったと思います。

今回は、地域のつくり手を探して商品を集めるという、まったく違う仕事ですよね。

相米さん
相米さん

そうなんです。

最初は本当に何のつながりもない状態でした。

ホームページやInstagramでつくり手さんを探して、メールやDMを送って、一軒一軒お話を聞きに行くところから始めました。

ここと編集部
ここと編集部

すごい。

本当に0からスタートですね!!

相米さん
相米さん

まだ新事業を公表する前だったので、連絡した先の方から会社に「よーじやの人から連絡が来たんですけど、本当に○○さんって方はいますか?」って確認の電話が入ったこともありました(笑)。

ここと編集部
ここと編集部

それは面白いですね(笑)。

確かに、突然よーじやの方から連絡が来たら、「どういうこと?」ってなるかもしれませんね。(笑)

相米さん
相米さん

そうですよね(笑)。

でも、一軒一軒お会いしてお話ししていくうちに、別のつくり手さんを紹介していただけるようになってきたんです。

それが本当に嬉しくて。

少しずつ自分たちの活動を認めてもらえているのかなと感じました。

ここと編集部
ここと編集部

山本さんは、店舗づくりの方も担当されているんですよね。

こちらも初めてのことが多かったのでは?

山本さん
山本さん

そうですね。

新規事業自体、これまで担当したことがなかったので、まず何から始めればいいのかを考えるところが大変でした。

最初は何もない状態なので、方向性をどうするか、何を検討していくか、メンバーで本当にたくさん話し合いました。

今は京都の企業さんと一緒に店舗の施工を進めているんですが、工事は簡単にやり直せるものではないので、決めるまでにも時間をかけました。

ここと編集部
ここと編集部

まだお店が完成していないのに、今決めないといけないことがたくさんあるわけですね。

山本さん
山本さん

そうなんです。

工事を進めて初めて出てくる問題もありますし、難しいことは多いですね。

でも、何もなかったところから少しずつ形になっていくので、そこはすごくやりがいを感じます。

自分たちで一から考えて、お店をつくっていく。

大変ですけど、楽しい部分でもありますね。

商品を買って終わりじゃない。「にーろく」から京都の街へ

2027年のオープンに向けて、準備が進む「にーろく」。

最後に3人に聞いたのは、これから訪れるお客さんに、どんな体験をしてほしいかということ。

そこには、単に商品を販売するだけではない、この事業ならではの想いがありました。

ここと編集部
ここと編集部

「にーろく」を訪れた方に、お店を出たあと、どんな行動をしてもらえたら一番嬉しいですか?

山本さん
山本さん

商品を買っていただけるのはもちろん嬉しいんですが、それだけじゃなくて、何かお気に入りの商品や地域を見つけてもらえたらいいなと思います。

京都府内のいろいろな地域に目を向けてもらうことを大切にしているので、お店で知ったことを、誰かに話してもらえるだけでも嬉しいですね。

「あの地域には、こんなものがあるらしいよ」って。そんな会話が生まれたら、すごくいいなと思います。

ここと編集部
ここと編集部

確かに、そこから興味が広がっていくかもしれませんね。

相米さんはいかがですか?

相米さん
相米さん

私は、実際にその地域へ足を運んでもらいたいです。

つくり手さんとお話しするときも、「うちのお店で買って終わりではなくて、最終的にはこの街に来てもらいたいんです」ということを伝えてきました。

京都にはきれいな海の景色もあれば、山の斜面に広がる茶畑もあります。

実際に行ってみると、写真や映像では分からない感動があるんですよね。

「にーろく」で知った街が、次のお出かけ先になったら嬉しいです。

ここと編集部
ここと編集部

いいですね。

出野さんは、どんな場所になってほしいですか?

出野さん
出野さん

まずは、魅力的な商品やつくり手さんを好きになっていただきたいですね。

そのためには、私たちがきちんと魅力を伝えていかないといけないと思っています。

今回の事業に関わって、出会いってすごいなと感じることが本当に多かったんです。

お店で商品と出会って、その土地に興味を持って、実際に訪れて、つくり手さんと交流して。

さらにその先で、「この街に住んでみたいな」と思ってもらえるくらいになったら、めちゃくちゃいい事業になったなと思います。

編集後記

今回のお話を聞いて印象に残ったのは、3人が本当に楽しそうに京都各地での出会いを話してくださったこと。

「京都を盛り上げたい」という言葉だけではなく、実際に現地へ足を運び、つくり手と向き合いながら進めている新事業「にーろく」。

お店が完成するのはまだ少し先ですが、そこでどんな京都の魅力に出会えるのか、今から楽しみです!!

店舗名にーろく
運営よーじやグループ
オープン予定2027年春ごろ
所在地京都市左京区・岡崎エリア(詳細未発表)
コンセプトまだ知らない京都に出会える場所。
内容京都府26市町村の食品・食器・生活雑貨などを扱うセレクトショップ(カフェ)
公式Instagram@26_kyoto
よーじや公式HPhttps://www.yojiya.co.jp/