「日常に起こる小さな幸せで無上の喜びを感じる」という意味を持つセルビア語の“MERAK”。
その言葉を店名にした日本茶カフェは、洋のモダンなムードと和の情緒をうまく融合させた独自の世界観が居心地の良い場所です。
大正ロマン風のアイコンを目指して、いざ、奥深い日本茶の世界への扉を開けましょう。
MERAKの基本情報
店名 | MERAK(メラク) |
住所・アクセス | 〒602-8384 京都府京都市上京区紙屋川町864-2 GoogleMaps 京福電気鉄道「北野白梅町」駅から徒歩5分 |
電話番号 | 075-600-9254 |
営業時間 | 12時00分~18時00分 ※日曜日は〜17時00分 night time 18時00分〜21時00分(月・火・金・土のみ) |
定休日 | 水曜日・木曜日 |
公式HP | https://keikyumerak.com/restaurant/ |
公式インスタグラム | https://www.instagram.com/merak__cafegallery |
日本茶の美味しさをシンプルに伝える厳選された品揃え
MERAKは肩肘はらず、上質な煎茶を気軽に楽しめるサロン的なお店です。
2022年9月のオープン当初は、アフタヌーンティー専門店として始まりました。
実は日本茶レストラン「茶房 金閣庵」の姉妹店で、金閣庵で人気の和製アフタヌーンティーをこちらでも展開していたそう。
現在は「日本茶の美味しさをシンプルに伝えたい」とメニューを絞り込み、昼はカフェとしてオープンしています。
さらに2024年8月から、夜は曜日限定でお茶とお酒と軽食を楽しめるサロンとしての新たな顔を持つようになりました。
京町家の趣はそのままにセルフリノベーション
洋の雰囲気が漂うエントランスから中へ入ると、京都の町家らしい畳の座敷が広がります。
奥には中庭があり、どこか懐かしさを覚える日常の風情に包まれています。
都市の中にありながら、常に自然とともにある暮らしを求めた京都の人々の、昔ながらの趣向をじっくり体感することができます。
オーナー・増田さんのお父様が京都の町家を再利用するプロジェクトを手がけているということもあり、良い物件に巡り合うことも多いと聞いて納得しました。
素敵な京町家をリノベーションした店内は、内装のほとんどを増田さん自らが手を加えているとか。
存在感溢れる杉の木材の座卓も、増田さんのお手製。和紙の大きな照明がモダンに映えます。
華美過ぎず、けれども趣のある設えも美しく、随所に洗練されたセンスが光ります。
2階の個室は残念ながら改装中とのことで、取材時は使用できませんでした。
10月には新たな空間が誕生する予定とのことなので、楽しみに待っていたいですね。
日本屈指の茶師がブレンドする日本茶を目当てに
MERAKの名物と言えば、オリジナルブレンドの煎茶です。ブレンドは茶師の山北祐士氏にお任せしているそう。
山北氏は日本緑茶の発祥地・京都宇治田原町出身で、日本茶界をリードする若手のホープ。
2023年に全国茶審査技術競技大会で優勝し、農林水産大臣賞を受賞、まさに日本一の茶師として活躍する実力派です。
取材時はまだまだ残暑厳しい時期だったため、冷茶でいただきました。
キリッとした喉ごしにほのかな甘みを感じる繊細な美味しさが、ひと口ごとにじんわりと、優しく体中に染み渡っていくのを感じます。
華やかな茶器は1689年(元禄2年)創業、有田焼の名窯である「香蘭社」のもの。
美しい色彩や絵付けがより一層、煎茶の味わいを優雅に引き立ててくれます。
抹茶碗やその他アフタヌーンティー時代の名残を感じさせる美しい茶器が並んでいるディスプレイ棚も印象的で、ついつい見惚れてしまいます。
スイーツは3種類揃っており、今回は「抹茶わらびもち」をチョイス。
わらび餅は向かいの「煉屋八兵衛(ねりやはちべえ)」の人気商品で、MERAKオリジナルの抹茶をたっぷりかけたコラボメニューとなっています。
もちもちの弾力のある食感に濃厚な抹茶の旨みが絡み、奥行きのある味わいを楽しめます。
家でも上質な日本茶タイムを楽しみたいと思い、ティーパックをお土産に購入しました。
「お茶を淹れる時は80℃のお湯で、とはよく聞きますが、温度計がなくて」とお伝えすると、増田さんが「沸騰したお湯を、一旦カップに移すだけで大丈夫です。移した時に温度が下がるので」と教えてくれました。
なるほど!それなら簡単。
これでまた、美味しい日本茶を飲む機会が増えそうです。
「北野天満宮」や「金閣寺」の名所巡りにも最適
京都の観光名所の一つ「北野天満宮」のすぐそばの住宅街の中にMERAKはあります。
京福電気鉄道(嵐電)北野線「北野白梅町」駅か京都市バス「北野天満宮前」が最寄りになります。
バスの沿線上に金閣寺もあるので、京都名所巡りの合間にブレイクするのもいいですね。
北野天満宮は、春は梅、夏は棚機祭(たなばた祭)、秋は紅葉と四季折々の景観を楽しめる場所でもあります。
またMERAKの姉妹店「茶房 金閣庵」は金閣寺界隈にあるので、ハシゴしてみるのもおすすめです。
まとめ
「日本人として日本茶についてもっと知りたい」と思っても、歴史や文化の奥が深過ぎて、何から始めていいのかわからなくなってしまいます。
そんな時にMERAKのような、洗練されているけれど日常使いできるカフェがあると、日本茶の世界への入り口がパッと広がります。
祖父が京田辺の茶農家(実は世界的に有名な玉露を手がける「山下新壽園」)だという増田さん。
ていねいに時間をかけて育てられた日本茶の背景や関わる人たちの情熱に触れてきたからこそ、その世界を多くの人に伝えたいという想いを抱いているのでしょう。
「難しいことは考えずに、感じるままに楽しめばいいんです」。
そう言いながらも、細やかに日本茶の魅力を語ってくれる増田さん。
ていねいに紡がれていくそのストーリーに、つい時間を忘れて夢中になってしまいます。